よくある質問 Q&A

教育ローンや自動車ローンが創業融資等の審査に与える影響

教育ローンや自動車ローンが創業融資等の審査に与える影響

 

建設業社長
建設業社長
当社は、私が、個人事業として6年経過後、法人を設立して1年半の地盤改良工事を得意とする土建会社です。二級土木施工管理技士も在籍しており、設計から施工まで一環して請け負うことができるとのが当社の強みです。個人事業だった時も、法人成りしてからも、日本政策金融公庫や銀行等からの借入は一切ありません。しかしながら、心配が一点だけありまして、今から24、25年ぐらいの会社員時代に、確か日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫)の教育ローンを借り、当時は、かなり生活がキツくて、記憶が曖昧ですが、返済が遅れたり、一部返済していないかもしれません。このような心配があるのですが、融資は可能でしょうか?また、教育ローンや自動車ローンの有無や返済額が融資審査にどのような影響を与えるのでしょうか?
はまだ
はまだ
ご相談ありがとうございます。社長の場合は、個人事業の経験がありますので、いわゆる創業融資ではありませんが、まず、日本政策金融公庫の教育ローン(自動車ローンも心配であればそちらも)の延滞や滞納有無などを調べるために、ご自身で信用情報(全銀協、CIC、JICC)を取得されてみてはいかがでしょうか?そこで延滞や滞納のマークがついていければ、融資を受けることはかなり厳しいと思いますよ。
【結論】まとめ

■代表者に教育ローン、自動車ローンの滞納・延滞がある場合の個人事業主、法人の借入はほぼ不可能

■教育ローン、自動車ローンの滞納・延滞がなくても、法人や個人事業主としての事業計画書の実行可能性等をチェックした上で、個人事業主や法人代表者個人の生活費や住居費を差し引き、ローンなどがちゃんと返済できるかチェックされる。

教育ローンや自動車ローンと創業融資の関係について

教育ローンや自動車ローンが個人事業や会社の融資にどのようなケースがありますかとよく質問されます。また、日本政策金融公庫や銀行などから融資を受ける際、借入金の返済明細を提出してくださいとよく言われます。なお、特に日本政策金融公庫の場合、借入をする方の個人(法人の場合は代表者)の通帳を6ヶ月~8ヶ月分の中身を確認します。

教育ローンや自動車ローンを滞納、延滞している場合

前出の土建会社社長の場合、全銀協、CIC、JICC(銀行、消費者金融、クレジットなど)のリストを取得してもらい、かなり昔の金融事故だったせいか、延滞や返済遅延などの記載がありませんでしたが、教育ローンや自動車ローンを滞納している場合、金融機関のリストを見ますので、ほぼ借入は不可能です。

(ただし、自己破産や任意整理から5年以上経過している場合は、免責となり、融資を受けられますが、たとえば、A銀行からお金を借り、自己破産→5年後またA銀行から借りられるかというと、法律上は免責になっているものの、同じ銀行ではデータが残っているので、融資は断られることがあります。この場合はB銀行へ融資の申し込みをします)

教育ローンや自動車ローンの残高はあるが、滞納・延滞していない場合

教育ローンや自動車ローンの残高があり、滞納や延滞をしていない場合、融資を受けることについて、入り口を突破したことになります。

金融機関の担当者は、個人事業または法人の売上高や仕入高、経費等、特に売上高については実現可能性をチェック・審査するのは当然ですが、個人事業主や法人代表者の生活レベルや性格などもチェックしています(定性分析といいます)。個人事業主、法人代表者の生活費やローンが高くなればなるほど、売上高や所得(法人の場合は役員報酬)も上がります。

個人事業の場合、売上から仕入れ、経費等を引いて残ったお金(法人の場合は役員報酬)が25万の所得の事業計画で、今回の借入希望額300万(5年返済、月5万円)であった場合

家族4名(うち子ども高校生1名、中学生1名)、住宅ローン10万、自動車ローン3万、教育ローン3万、食費等生活費15万円、今回借入返済額5万円 合計36万/月

所得25万、毎月必要とするお金36万→毎月10万近くが不足する計画となりますが、大丈夫かな?という疑問が沸いてきます。

食費等生活費については、金融機関により1人5万として計算するところもあれば、1人7万として計算する場合もあり、地域の物価や経済を考慮し、金融機関の内部ルールや担当者によりことなります。

特に日本政策金融公庫では、個人事業主または法人代表者の通帳を6ヶ月~8ヶ月分を必ずチェックしますが、審査担当者は、上記の生活費のチェックの他、自己資金の有無、コツコツ貯めてきたお金かどうか(何年かコツコツ貯めてきた=起業への情熱とみなす)、毎月の生活のレベル、住宅ローン、自動車ローン、その他借入の有無と金額、自宅が賃貸の場合は、支払いが遅れていないか、ローン返済や借入、家賃の支払いが何かの手違いで遅れても、すぐに返済する性格かなどもチェックしているようです。

※ご注意 この記事は、執筆者が過去に経験した事例をもとに執筆していますが、法改正や制度改定により、今後、変更になる可能性もあります。また、同種同様の事案であっても、銀行や保証協会の担当者や融資を受ける方の性格や属性により、必ずしも融資が受けられることをお約束するものではありませんので、ご注意ください。

前出の土建会社社長が、結果的にどうなったか、参考までに後日談を記載しておきます。

この方は、約25年前にご子息のために借りた教育ローンの返済、当時の自動車ローンの返済の状況(延滞または滞納)に心配があるというものでしたので、信用情報を取っていただきました。信用情報には、延滞や滞納のマークがなく、いわゆる事故扱いにはなっていませんでしたので、事業計画書を作り、日本政策金融公庫で会社の融資を申し込みしましたが、24年前に借りた教育ローンが延滞になったままデータ上、残っているということで、融資は断られました。(担当者からご本人へ教育ローンの返済で裁判になり、この社長の実家(廃屋)が差し押さえされ、競売になったが、売れなかったということを知らされたそうです)

ですが、どうしても今後の事業展開を考えると、どうしても借入したいということで、地方銀行へ融資を申し込んだところ、保証協会付で、運転資金1000万の融資を受けることができました。